[前の画面に戻る] [INDEX]

抱朴子のミニロゴ

 2 黄金 【オウゴン:黄金を作る方法、いわゆる錬金術と、黄金の服用法について記述】
←前頁  次頁→

金を食する者は、その寿命、金の如し。
(本文より)

黄金を作る方法 その一 
金楼先生が青林子から伝授された黄金の作り方。
まず、錫(スズ)の板、一辺の長さ6寸、厚さ1寸2分を鍛え、赤塩(塩と雨泥を混ぜて焼いたもの)と灰汁(アク)を混ぜて泥のようにして、錫の上に塗る。(錫十斤に赤塩四斤の割合)厚さを一分くらいに均等にする。重ねて赤土の窯の中に入れる。
釜に封をしてこれを暖めること30日、窯を開いて見れば、錫はことごとく灰のようになっているが、中に累々として豆粒のような物が残る。これが黄金である、これを集めて、土瓶に入れて、炭であぶり、これを十回練れば完成である。十斤の錫で金二十両を得ることができる。
ただし、長沙・桂陽・豫章・南海(地名)の土窯を用いるべきである。

黄金を作る方法 その二
稷丘子の方法。
礬水石(ミョウバン)2分を鉄器に入れて、炭火を加えて沸かし、汞(水銀)を入れ、かき混ぜながら6〜7回沸騰して地上に注げば、白銀となる。
水銀と曾青水(銅の一種)をそれぞれ一分、雄黄水(硫化砒素)二分を取り、鋳造釜で弱火で沸かし、再び地上に注げば紫磨金となる。

黄金を作る方法 その三
中が一尺二寸、高さを一尺の大きな鉄鍋と、中が六寸の小さな鉄鍋を作る。
赤石脂(石の風化したもの)一斤、消石(硝酸カリウム)一斤、雲母一斤、代赭(石)一斤、硫黄(硫化砒素)半斤、空青(銅青石)四両、凝水石一斤を皆合わせて篩(フルイ)にかけて細かくし、酢を加えてこれを小さなほうの鉄鍋に厚さ二寸に塗る。
汞(水銀)一斤、丹沙水(硫化水銀)一斤、良非半斤は別にして混ぜ、汞(水銀)が見えなくなった頃合に、小さな鉄鍋の中に入れて、上を雲母で覆い、フタをする。
大鍋を炉の上に据え、溶けた鉛を流し込み、その中に小鍋を入れて猛火で三日三晩炊く。これによって生じるのが紫粉という。別に、鉛十斤を鉄鍋に入れて、二十日間上下に揺り、鉛が溶けるのを待って、紫粉を入れてかき混ぜれば黄金となる。
白銀を作ろうとするなら、水銀を鉄器の中に入れ、紫粉を入れて火にかけ、水中に注げば銀となる。

黄金を作る方法 その四
務成子の方法。
長さ九寸、直径5寸の鉄鍋を作り、雄黄(硫化砒素)三斤を砕き、同量の蚓螻壌(泥の種類)と合わせて泥となし、鍋に塗って、鍋の口を直径三寸とし、丹沙水(硫化水銀)二合を加え、銅のフタをピッタリとしてその上を黄沙で覆い、炉の中に入れる。鍋のフチが赤くなったら冷やすべく、このフタを開けて、さらに雄黄を入れ、再び、炉の中に戻す。鍋のフチが赤くなったら今度は水銀を入れ、そのあとに鉛を入れる。
すると、その中から黄色いものが発生し、これを地面に注げば、これがすなわち金である。




黄金の飲み方 その一

火で黄金を溶かし、清酒の中に入れて出す、を200回繰り返し、これが沸けば、握って指の間より泥のように出す。もし、指の間から出なければ、もう一度やり直す。こうやって作ったダンゴ状のものを、小さく分けて、30日飲めば、暑さ寒さも感じず神人玉女も従うようになる。
銀もまた、金と同じ方法である。この金と銀を飲んで、名山の岩穴の中に居れば、一年くらいで宙に浮くことができる。人間でこれを飲む者は地仙(地上にいて仙人でいる者のこと)である。しかし、このことを、みだりに他人に話してはならない。

黄金の飲み方 その二
両儀子(人名)の黄金を食する方法は、猪負、革肪3斤、醇苦酒1斗、黄金5両を器に入れて、これを炒り、炉から出したり入れたりを百回繰り返す。1斤の金を食べると寿命は二千歳、5両なら千二百歳である。量の多少は関係なく食べても良い。良い日を選んでこれを作れば、神妙なる力が宿るが、このことを他言してはならない。他言したら、黄金は作ることができでも神の力が宿らないからである。



黄金の効用
この金を牡荊・赤黍酒に浸し、百日たてば、柔らかくなり、これを一日三回、全部で一斤飲めば、百病は皆去りて、盲者は目が見えるようになり、聾者は聞こえるようになり、老いた者は若返る。
火に入っても火傷せず、あらゆる病を退けることができる。
これを三斤飲めば、水上を歩行できるようになり、山川の百神が皆来て守護し、天地と同じ寿命を得る。

・この黄金を、杼(どんぐりの一種)と血朱草で一緒に煮て、目じりに塗れば、鬼や地中の物が見えるようになり、夜でも読み書きができるようになる。
・白羊の血を黄金に塗って、水中に投げれば、魚が自ら網にかかるようになる。
・青羊と鶏の血を塗って都の門の上に懸ければ、疫病が流行らないようになる。
・牛や羊の額に塗れば、虎や豹に襲われることがない。
・虎の肝、蛇の脂をこの黄金に塗って、敵の軍隊に投げつければ、敵軍は理由も無く乱れ、お互いに殺傷を始める。
・牛の血を塗って、井戸に投げれば、井戸水が沸き、流水に投げれば逆流はじめる。
・白犬の血を塗り、社廟の舎中に投じれば、鬼神が現われて、仕えるようになる。
・ウサギの血を塗って、六陰の地に置けば、台所に玉女が現われる。
・鯉の肝をこれに塗れば、水が割れて、水中でも息をすることができ、雨に降られても衣服が濡れなくなる。
・紫?(ヒユ)で黄金を似て、その汁を飲めば、百日飢えることがない。
・磁石と一緒に黄金を煮て、髪の中に入れておけば、賊の矢に当たらない。
・六丁六壬の土を合わせて、人中(鼻と唇のあいだ)に塗れば、体を消すことができ、それを口に含んで北の方角に吹けば火となる。
・庚申の日、申酉の時刻に西の方向の樹木に、黄金を投げれば、樹木はたちまち枯れる。
・黄金を持って、石に文字を書けば、文字が石の中に消えていく。
・黄金を飲み込み、水を含んで死人の顔に吹き付ければ、死人が生き返る。
・狐と鶴の血と、黄金を混ぜて、爪の中に入れて、指差せば、言葉どおりに物が変化する。



黄金を作るに際して
黄金を作る時は、皆、太乙玄女老子の位牌を立てて、祭ることが必要である。常に香を炊き、香を絶やしてはいけない。
また、黄金が出来れば、まず三斤を深い水の中に投じ、次に一斤を市中に投じ、その後で、これを用いるべきである。

←前頁  次頁→

抱朴子 内篇 巻之十一「仙薬」より